LIME研究会

MGDの診断・治療

涙液油層の評価をおこなうTear Interferometry

現在、日本で市販されているTear InterferometryはLipiView®(TearScience、USA)、DR-1α®(Kowa, Japan)である。LipiViewは角膜下方1/3のみの涙液油層の測定を行い、油層厚を定量的に測定できる。DR-1αは角膜全体(中央部も含む)の涙液動態の観察、油層の定性的観察ができる。これらを用いることでMGD患者の治療効果のモニタリングが可能となる。今後、その有用性を裏づけるような臨床研究が続々と発表されるであろうし、LIME研究会でもそのような研究成果を発表していく予定である。
今後、ますますTear Interferometry領域から目が離せない。

LipiView®

LipiView®

DR-1α®

DR-1α®

以下に、興和(株)よりご提供いただいた内容に、LIME研究会風のアレンジを加えてDR-1αの特徴をご紹介する。

DR-1αの特長

  • 1997年に“DR-1”が発売されていたが動画撮影等の機能を強化し、今年2015年、9月にDR-1αとしてフルモデルチェンジ
  • DR-1αは涙液油層の光干渉像を観察する機器で、静止画だけでなく、涙液油層の動態を観察できる動画撮影機能を搭載している。
  • NIBUT(Non-invasive breakup time)の計測ができ、撮影範囲はWIDE(径8mm)、NARROW(横3.4mm×縦2.5mm)
  • PCを搭載しており、LANケーブル一本で、ファイリングや電子カルテと接続することも可能となった。

原理

  • 涙液油層の厚みはおよそ100nmと非常に薄い膜
  • 白色光を薄膜に照射すると、薄膜(はくまく)の表面と裏面(りめん)で反射し、それぞれの反射光が互いに強めあったり弱めあったりする干渉現象が発生する
  • 干渉縞は膜の厚みに応じて変わるので、虹色が付くということは膜厚(まくあつ)が増えているということになる。逆に、涙液油層が均一に伸展し、均一な厚みである場合、干渉縞は観察されず、一様に灰色の干渉像が観察される。

涙液油層表面からの反射光と裏面からの反射光との光路差によって干渉色が出現する(スライド提供:興和(株)※一部改編)

涙液油層表面からの反射光と裏面からの反射光との光路差によって干渉色が出現する
(スライド提供:興和(株)※一部改編)


涙液の鏡面反射像を最大面積で得られるよう光学設計している(スライド提供:興和(株))

涙液の鏡面反射像を最大面積で得られるよう光学設計している(スライド提供:興和(株))

涙液層破壊が微細に観察することが可能

正常眼では、涙液が一様に角膜上に伸展し、涙液表面に凹凸(おうとつ)がなく、きれいな光干渉像が得られる。
ドライアイ眼では、涙液層破壊が起こり、その部分は散乱反射するので、得られる光干渉像も不均一。

涙液層破壊(スライド提供:興和(株)※一部改編)

(スライド提供:興和(株)※一部改編)