LIME研究会

Morphology and Function of Meibomian Glands and Other Tear Film Parameters in Junior High School Students.

Mizoguchi T, Arita R, Fukuoka S, Morishige N.Cornea. 2017 Aug;36(8):922-926

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28628504

(どなたでも無料で全文、ダウンロードできます)

皆さま、こんにちは。有田玲子です。

本日は昨年の春に長崎県佐世保市の中学生検診で、LIME研究会検診プロジェクトリーダーの溝口尚則先生(溝口眼科、佐世保市)が中心となって行った論文のご紹介です。

結果がなんと衝撃的!!なのでぜひ、多くの先生方にこの事実を知っていただきたいです。

つまり、15歳の涙液パラメータを測定したところ、マイボグラフィ―によるマイボーム腺の形態変化(マイボスコア)とマイボーム腺の脂の状態(マイバムグレード)が予想よりはるかに悪かったのです。特に男子学生で。。。こんな結果を誰が予測したでしょうか??はじめ、溝口先生がこの検査結果をエクセルファイルで送ってくれたとき、私は信じられませんでした、はい。検診なのですから、15歳なのですから。機能も形態もほぼ0(正常)だと思っていました。でも写真を送ってもらって私の間違いがよくわかりました。本当に形態は大きく変化していました。。。短縮、屈曲、脱落と。。。

私たちは、そのメカニズムについて15歳という年齢のホルモンバランスの崩れに着目しました。アメリカのSchepens Eye ResearchのDavid Sullivanを中心としたグループから、マウスを用いた実験で、アンドロゲン、エストロゲン、プロゲステロンなどの影響をマイボーム腺が非常に大きくうける、という論文をたくさん出しています。でもそれはヒトではまだあくまで仮説で

15歳男子のマイボーム腺
下のすべてのマイボーム腺が短縮

証明はできていません。今後、まだ思春期に入る前の男女(10歳くらい)、思春期が終わったころ(20歳ごろ?)、もしくは今回studyに参加してくださった15歳のかたがたの5年後、など調べてみて初めて私たちの仮説が正しかったのかわかると思います。なので、このstudyは予想に反してシリーズ化することとなり、溝口先生は来年も再来年も小学生、中学生、高校生などの検診で涙液パラメータを検査していくこととなりました。今後の研究結果に乞うご期待