LIME研究会

涙は眼にとって欠かせないものですが、その量が多すぎると涙目の症状(流涙症)を生じます。ドライアイの患者さんにしたらうらまやしいと思われるかもしれませんが、いつも涙でうるうるしている、いつも涙をふくので目のまわりがただれるなどでとても困っておられます。また、涙のために視界がぼやけ、見えにくいなど訴えることもあります。この原因が涙の通り道である涙道がつまっている涙道閉塞の場合は、涙道にチューブを留置するという治療を行います。
 
今回、流涙症の患者さんの視機能(見え方の質)を客観的に評価し、その治療前後で比較した論文がAmerican Journal of Ophthalmologyにアクセプトされました。

Quality of Vision in Eyes with Epiphora Undergoing Lacrimal Passage Intubation

http://www.ajo.com/article/S0002-9394(17)30274-X/fulltext

普通の視力検査では流涙症で訴える「見えにくさ」を測定できず(だから診察でも説明がつきにくく困る)、これまで流涙症の視機能についてはほとんど報告がなかったのですが、今回、①流涙症の患者さんは涙が多いために視機能の質が低下する、②涙道チューブ留置により視機能の質が改善する、ということが定量評価によりわかりました。

誰もが普通に思っていることでもきっちりと示されていない、ということは意外によくあります。患者さんへの説明においても根拠になるので、またコツコツと証明できればいいなと思うこのごろです。

6月に訪れたイギリス、ウェールズの首都Cardiff。夜10時ごろですがまだ明るい!メインストリートにはウェールズの国旗、Red Dragonがいっぱい。素敵な街でした。