LIME研究会

こんにちは。LIME研究会「涙のあぶら」プロジェクトの福岡です。

このたび、ジクアホソル点眼液が正常眼の「涙のあぶら」の厚みに与える効果についての研究が、Ocular Surfaceの電子版に掲載されました。

 

Increase in tear film lipid layer thickness after instillation of 3% diquafosol ophthalmic solution in healthy human eyes.

Fukuoka S, Arita R. Ocul Surf. 2017 Mar 28. pii: S1542-0124(16)30288-9.

 

眼の表面を守っている涙は、水分と油層とムチンから構成されています。ジクアホソルナトリウム点眼液(ジクアス®、参天製薬)は、涙の水分やムチンを増加させる効果があり、日本、韓国、ベトナム、タイでドライアイの目薬として用いられています。これまで、軟膏などで油分をおぎなう方法はありましたが、涙のあぶらの分泌を増やす目薬があることは知られていませんでした。今回、涙液油層干渉縞解析装置(LipiView®)を用いて、涙のあぶらの厚みを正常眼47例の方の点眼前後で測定したところ、片眼にジクアホソル点眼液を1回点眼すると、点眼60分後まで点眼前よりも涙の油の厚みが増えていました。人工涙液を1回点眼した反対眼では、涙のあぶらの厚みは変化がありませんでした。このことから、ジクアホソル点眼は、正常眼で、涙の水分やムチンだけでなく、マイボーム腺からの涙の油の分泌を増やすはたらきがあると考えられました。また、年齢にかかわらず、ジクアホソル点眼液により涙のあぶらが増える効果があることもわかりました。

健康な眼の方だけでなく、ドライアイやマイボーム腺機能不全の方でも、ジクアホソル点眼液により涙の水やムチンだけでなく、涙のあぶらも増える効果があることを期待して、さらなる研究を続けています。

 

こちらから無料でお読みいただけます。ご興味がありましたら、ぜひダウンロードしてください。

http://www.theocularsurfacejournal.com/article/S1542-0124(16)30288-9/abstract

 

人工涙液もしくはジクアホソル点眼液を1回点眼したときの点眼前、点眼後15、30、60分後のLipiView®で測定した涙液油層厚(涙のあぶらの厚み)の経時的変化です。白丸が人工涙液、黒丸がジクアホソル点眼液です。ジクアホソル点眼液1回点眼で、点眼前よりも涙液油層厚が増えました。

 

 

 

 

 

 

有田先生、伊藤医院の皆様に論文アクセプトのお祝いをしていただきました!

ありがとうございました!