LIME研究会

先週は木曜日から日曜日午前中まで日本眼科学会が東京国際フォーラムで開催されました。7,500人の参加があったとのことで過去最高だったのことです。私も木曜日の午後、International Symposiumでの講演をさせていただきましたが、会場には多くの先生方がいらっしゃっており、今までは木曜日はもう少し参加の先生方が少なかった印象だったので今年は多いなーと感じておりました。

そんななか、日曜日の午後、に第2回LIME研究会主催マイボーム腺講習会を開催させていただきました。前回の第1回はMGDの診断、治療の講義と実際の手技の講習会でした。それなりには好評でしたが、今回は少し趣向を変えて、”眼瞼腫瘍” ”霰粒腫”をテーマに柿崎裕彦先生(愛知医大)に特別講演を、Debate形式で野田実香先生(慶應大)(大きく切る)、福岡詩麻先生(大宮はまだ眼科、LIME研究会)(温存して治す)の先生方にご講演をお願いしました。告知をさせていただいて2週間で満員御礼になり、キャンセルなどの事情で追加募集すると、すぐにまたいっぱいになる、といった具合でとても注目度の高いものでした。企画した私たちも大変わくわくして当日を迎えました。

当日は、遠方から、わざわざこの会にだけご参加くださった先生方が続々といらっしゃり、また以前地方の講演会でご一緒させていただいた先生がたにも再会できまして、もっとお時間があればもっとご挨拶できたのに、、と残念な場面もありました。

実際の講演はLIMEメンバーから”明日から役立つマイボーム腺関連疾患の診断、マイボケア”の講演があり、温罨法やリッドハイジーンの大切さをご紹介、その後柿崎先生のご講演でした。柿崎先生は40分という短いお時間のなかで眼瞼の解剖、組織、発生のことから、眼形成の症例、霰粒腫との鑑別で最も重要な脂腺癌の症例をたくさん見せてくださり、あっという間の40分で、もっともっと続きを聞いていたい、と参加者全員が前のめりになって相当集中して講演を聞いていました。柿崎先生の一言一句を聞き逃さないように、どんな小さな物音もしない40分でした。”初診医がいかに見逃さないか、誤診しないか”の重要性を教えていただきました。質問もたくさん出ましたが、十分な時間がとれなかったので、休み時間にも複数の先生が柿崎先生を取り囲んでいました。

その後、初めてのDebate企画。野田先生は霰粒腫を切る立場、福岡先生はLIME研究会を代表してマイボーム腺を守る立場でご講演くださいました。野田先生のご講演の印象は”頭も切れる、腕も切れる、話も切れる”すばらしい講演でした。ついつい私も”切ったほうがいいのでは??”と思わせる内容でした。。。ご講演のなかでLIME研究会の先生方の”マイボーム腺への思いやり”には驚かされる、とおっしゃっていたことがすごく印象的で”そうか、私たちの活動はマイボーム腺への思いやりだったのか”となんか納得してしまいました(笑)

LIME研究会を代表してマイボーム腺を守る立場で講演してくれたのは福岡先生です。福岡先生は過去の文献とご自分の臨床研究データを引用し、さらにご自分のご経験になった症例(乳児から若い女性、成人まで)をご紹介くださいました。温罨法とリッドハイジーンで6か月待てば完治するというお話しは、患者さんに”近未来の予測”をお話しすることで治療のオプションの提示を複数できる、という意味で重要なことと思います。正直言って、”ここまで温存だけで治るのか”と私も驚きました、ハイ。

最後は時間をオーバーしてもDiscussionが絶えない大変有意義な会でした。おおよそのまとめとしては”霰粒腫自体がマイボーム腺へのダメージ。予防が大事” ”予防は温罨法とリッドハイジーンで”です。

野田先生が”患者さんも医者も気が短いと温存治療にはついていけない。私は気が短いから”とおっしゃり、会場が爆笑に包まれました。

その後アンケートを回収させていただきましたが、大変多くの先生方に”有意義だった””勉強になった”と言っていただきとてもうれしかったです。次回のテーマも早速いろいろとリクエストいただきまして、また次回を企画させていただきたいと思います。

学会ではなかなかテーマにならない、でも身近な疾患で日常臨床で困っている、迷っている症例をとりあげて”痒い所に手が届く” ”マイボーム腺を思いやる” LIME研究会であり続けたいと思います。

今後も引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。

最後はお決まりの集合写真です。