LIME研究会

こんにちは、﨑元です。今回は不思議な経験をした症例をご紹介します。

症例は59歳の女性。5年前に近医で右眼眼底出血と言われ右眼にレーザー治療を受け、それからしばらくして右上眼瞼中央部の睫毛が脱落するようになったとのことです。半年前からは左眼にも同様に上眼瞼中央部に睫毛禿を認めるとのこと。プライマリーケア医から当院総合内科に紹介後、当科依頼初診となったものです。睫毛が無いせいで異物が入りやすくなったなどと明らかな訴えがあり、羞明や乾燥感も自覚していました。全身的には高血圧症以外に異常はなく、全身のほかの部分での脱毛も無いとのことです。

受診時、両眼とも確かに上眼瞼中央部に睫毛禿を認めていました。前眼部・外眼部所見は、強い充血などの所見は無く一見きれいなのですが、よく診ると右>左で瞼縁のわずかな充血、そして右には睫毛根にカラレットの付着を認めました。両眼BUTの短縮もありました。

軽い前部眼瞼炎があるのかなと思いましたが、それで睫毛が脱落するかわかりませんでした。とりあえず、という感覚でレボフロキサシンとフルオロメトロン両眼1日2回点眼を処方して経過観察したところ、1か月後再診時には患者の自覚症状は軽快しており、充血は減少、カラレットも消失していました。すると初診2か月後にはすっかり睫毛が生え揃っているではないですか!患者さんもすっかりお喜びになり帰られていきました。

培養検査やマイボグラフィ、睫毛根の検鏡もしていないのですが、こういうこともあるんだ、と不思議に思った症例のご紹介でした。