LIME研究会

こんにちは。LIME研究会「涙のあぶら」プロジェクトの福岡詩麻です。

このたび、ジクアホソル点眼液がMGDを伴うドライアイ眼の「涙のあぶら」=涙液油層に与える効果についての研究が、Scientific Reportsにアクセプトされました!

 

Tear film lipid layer increase after diquafosol instillation in dry eye patients with meibomian gland dysfunction: a randomized clinical study

Fukuoka S, Arita R.

 

眼の表面を守っている涙は、水分と油層とムチンから構成されています。ジクアホソルナトリウム点眼液(ジクアス®、参天製薬)は、涙の水分やムチンを増加させる効果があり、日本、韓国、ベトナム、タイ、中国でドライアイの目薬として用いられています。

以前に我々は、正常眼47例の方々にジクアホソル点眼液を1回点眼したところ、点眼60分後まで点眼前よりも涙のあぶらの厚みが増加していたということを報告しました。

ブログ記事はこちら

 

今回、MGDを伴うドライアイ患者47例の方々に対し、片眼にジクアホソル点眼液、反対眼に人工涙液を1回点眼し、涙液油層と水層に与える効果を調べる研究を行いました。

結果は、ジクアホソル点眼液を1回点眼後、

・点眼60分後まで点眼前よりも涙のあぶらの厚みが増えていました。

・点眼30、60、90分後、点眼前とくらべて、涙の水の量(涙液メニスカス高)は有意な変化はありませんでした。(点眼30分以前に涙液の水分量がいったん増えて、30分の時点ではもとにもどっていたのだと考えています。)

・点眼90分後まで点眼前よりも非侵襲的涙液層破壊時間(NIBUT)が延長しており、涙の安定性がよくなっていました。

・涙液光干渉像を観察したところ、点眼前に干渉縞を認めなかった眼(蒸発亢進型ドライアイタイプ)では、人工涙液よりもジクアホソル点眼液を点眼した眼のほうが、点眼90分後まで干渉縞がみられるようになっており、涙のあぶらが増えて、涙の水とあぶらのバランスがよくなっていました。

人工涙液を1回点眼した反対眼では、涙のあぶらの厚みや水の量、涙液の安定性には有意な変化がありませんでした。

人工涙液よりもジクアホソル点眼液を点眼した眼のほうが、自覚症状も改善していました。

 

このことから、ジクアホソル点眼液は、正常眼だけでなくMGDを伴うドライアイ眼で、涙の水分やムチンだけでなく、マイボーム腺からの涙のあぶらの分泌を増やすはたらきがあり、涙の安定性と自覚症状を改善する効果があると考えられました。ジクアホソル点眼液は、涙の水が少ない患者さんだけでなく、涙のあぶらが少ない患者さんの治療の選択肢にもなります。

 

論文がonlineでご覧いただけるようになりましたら、またブログでご案内させていただきます。

 

MGDを伴うドライアイ眼(47例94眼)に、人工涙液もしくはジクアホソル点眼液を1回点眼したときの点眼前、点眼後30、60、90分後のLipiView®で測定した涙液油層厚(涙のあぶらの厚み)の経時的変化です。白丸が人工涙液、黒丸がジクアホソル点眼液です。

ジクアホソル点眼液1回点眼で、点眼前よりも涙液油層厚が増えました。

 

 

 

MGDを伴うドライアイ眼(47例94眼)に、人工涙液もしくはジクアホソル点眼液を1回点眼したときの点眼前、点眼後30、60、90分後のDR-1αで測定したNIBUT(非侵襲的涙液層破壊時間)の経時的変化です。白丸が人工涙液、黒丸がジクアホソル点眼液です。

ジクアホソル点眼液1回点眼で、点眼前よりも涙の安定性が改善しました。