LIME研究会

MGDの診断・治療

MGDの一般的な治療

1.温罨法(Warm Compress)

MGDの国際的標準治療のひとつで有用性が報告されてきた。
最近、MGD患者の眼瞼結膜の温度は正常眼に比べ有意に低く1、眼瞼の血流量も低下していることがわかったため、さらに温罨法の有用性が期待される。

MGD患者ではマイボーム腺からの分泌脂は、その融点が上昇するために固形化してしまう。温罨法は、眼瞼の温度をその融点まで上昇させて、固形化してしまった分泌物を融解することにより、その分泌を促進させる治療法である。

温罨法には、温熱アイマスク(あずきのチカラ、蒸気でホットアイマスク、目元エステ)、赤色光温熱装置(アイホットR)などの市販品や、蒸しタオルが用いられる。(図1)

(図1) いろいろな温罨法

(図1) いろいろな温罨法

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LIME研究会制作:温罨法 解説動画

また、眼瞼を圧迫することによって、物理的に分泌を促進させることもなされている。吉富式、獨協式、有田式鑷子(セッシ)(図2)などが医療器具として使用されている。定期的に脂をあまり痛くないように圧出すると効果が期待できる。

吉富式と独協式鑷子

有田式鑷子有田式マイボーム腺圧迫鑷子使用動画

(図2) マイボーム腺圧迫鑷子のいろいろ

2.眼瞼清拭

MGDの国際的標準治療のひとつで温罨法とセットで行うとより効果が期待できる。

従来、ベビーシャンプーを綿棒につけてマイボーム腺開口部を清拭するという方法が薦められてきたが、現在ではマイボーム腺用の清拭綿や目元用クレンジング商品が市販されている。従来の方法より眼刺激が少ないとされている。洗顔と同様に朝晩の2回、習慣化して行うのが理想的。

(図3) 2週間眼瞼清拭のみで治療を行い、改善した症例

(図3) 2週間眼瞼清拭のみで治療を行い、改善した症例

3.油層の補充治療

タリビッド®眼軟膏の微量投与も有効であるが、水分がないと油膜形成されないため、人工涙液(ソフトサンティア®、マイティア®など)も併せて使用するとよい2

油性点眼は、国内外で主にOTCとして薬局などで購入できる(新なみだロート®ドライアイ、新ロート ドライエイド®EX などはゴマ油を配合している)。

4.点眼療法

ドライアイの治療(ソフトサンティア®、マイティア®などの人工涙液、ヒアレイン®やティアバランス®などのヒアルロン酸)も油層の治療として併用することが自覚症状の改善や他覚所見の改善に有効である。

さらに最近、マイボーム腺にもP2Y2レセプターが存在しており、MGDの初期でまだ形態変化が進行していない患者であれば、ジクアホソル点眼(ジクアス®)で脂を刺激して分泌させることが可能であることが報告された3。抗炎症、抗酸化作用を有するレバミピド点眼(ムコスタ®)がMGDに有効であったとの学会報告もあり、今後の可能性が期待される。

MGDとイコールではないが、細菌感染に伴うマイボーム腺炎を経験する場合がある。
20~40歳代では、マイボーム腺分泌脂の細菌培養における主な検出菌がPropionibacterium acnes(P. acnes)、70歳代ではブドウ球菌と報告されている4。セフェム系抗菌薬点眼(ベストロン®)の効果が認められる。

5.抗炎症療法

MGDには眼瞼縁の炎症が関与しており、その炎症に眼瞼縁の常在細菌の関与も考えられている。エステルを主体とするマイボーム腺脂質に対して細菌のリパーゼが作用すると、脂肪酸が遊離して眼瞼縁の炎症を生じ、マイボーム腺の導管の上皮が角化(過角化)して、閉塞させるという考え方である。眼瞼縁の炎症を抑えるために、低力価ステロイド(0.1%フルメトロン®)を抗菌点眼薬とともに用いることがある。

また、より根本的に眼瞼縁やマイボーム腺内の細菌を除菌する目的で、テトラサイクリン系薬剤やマクロライド系薬剤の少量長期内服投与が行われることもある。

これらの抗生物質は、マイボーム腺への組織移行もよく、テトラサイクリン系薬剤では細菌の出すリパーゼ活性抑制作用、マクロライド系では抗炎症作用といった副次的作用が期待できる。

6.食事療法

オメガ3脂肪酸を多く含む食品やサプリメントが有効である5という報告があるが、まだ詳細な検討は十分になされていない。

【参考文献】

1.
Arita R, Shirakawa R, Maeda S, Yamaguchi M, Ohashi Y, Amano S.Decreased surface temperature of tarsal conjunctiva in patients with meibomian gland dysfunction. JAMA Ophthalmol. 2013 Jun 1;131(6):818-9
2.
Goto E, Shimazaki J, Monden Y, et al. Low-concentration homogenized castor oil eye drops for noninflamed obstructive meibomian gland dysfunction. Ophthalmology
2002;109:2030-2035.
3.
Arita R, Suehiro J, Haraguchi T, Maeda S, Maeda K, Tokoro H, Amano S.Topical diquafosol for patients with obstructive meibomian gland dysfunction. Br J Ophthalmol. 2013 Jun;97(6):725-9
4.
Suzuki T, Mitsuishi Y, Sano Y, Yokoi N, Kinoshita S. Phlyctenular keratitis associated with meibomitis in young patients. .Am J Ophthalmol. 2005 Jul;140(1):77-82.
5.
Macsai MS. The role of omega-3 dietary supplementation in blepharitis and meibomian gland dysfunction. Trans Am Ophthalmol Soc 2008;106:336-356.