LIME研究会

眼瞼炎

眼瞼炎症例集

眼瞼炎の症例集です。
重症度1(軽傷)~重症度5(最重症)

症例1:78歳 女性

症例1

症例1

主 訴
  • 10年前から眼脂、充血
  • 見えにくい
  • 起きたときに涙が出る感じ、眼脂が朝べったり瞼についている
鑑別すべき
疾患
眼瞼炎、慢性結膜炎、ドライアイ
診断名 前部+後部眼瞼炎
重症度

重症度4

10年前からとかなり長い罹患年数、睫毛脱落や下方角膜上皮障害など所見のほぼすべてがそろっている。今まで眼科医にかかったことがなく、市販の点眼をしていた、とのことで治療に反応する可能性は高め。
所見の解説

起床時に症状が悪化している。
睫毛周囲にcollaretteを認め、眼脂+充血+、睫毛脱落。
→ 前部眼瞼炎

マイボーム腺開口部周囲にRidge, Plugging、Vascularityあり
マイボーム腺分泌脂(マイバム)の混濁
フルオレセイン染色で角膜下方上皮障害あり
下方涙液メニスカス高
→ 後部眼瞼炎(MGD)

現段階での
処方
前部眼瞼炎に対して
  • 0.1%フルメトロン 4回/日
  • ベストロン 4回/日
後部眼瞼炎に対して
  • 温罨法、リッドハイジーン 2回/日
  • 食事指導(EPA, DHAを意識した青魚中心の食事)
治療後1週間の状況
  • 症状 ゼロに改善
  • 温罨法とリッドハイジーンは続行して、点眼はオフに
 症例1:治療後1週間

症例1:治療後1週間

症例2:71歳 男性

症例2

症例2

主 訴
  • 3週間前から特に起床時にヒリヒリ感、ゴロゴロ感、流涙感、眼脂が出ている感じ
  • 中性脂肪、高コレステロール血症の治療中
鑑別すべき
疾患
眼瞼炎、ドライアイ、アレルギー性結膜炎
診断名 前部+後部眼瞼炎
重症度

重症度2

罹患期間が短く、所見もまだ軽微
所見の解説

起床時に症状が悪化している。
睫毛周囲にcollaretteを認める。
→ 前部眼瞼炎

マイボーム腺開口部周囲にPlugging、Vascularityあり
マイボーム腺分泌脂(マイバム)の混濁
フルオレセイン染色で角膜下方上皮障害あり
下方涙液メニスカス高
BUT4秒
→ 後部眼瞼炎(MGD)
(蒸発亢進型ドライアイもあるが、治療はMGDの治療を中心に行う)

瞼結膜に乳頭形成なし
→ アレルギー性結膜炎ではない

現段階での
処方
前部眼瞼炎に対して
  • 0.1%フルメトロン4回/日
  • ベストロン4回/日
後部眼瞼炎に対して
  • 温罨法、リッドハイジーン 2回/日
  • 食事指導(EPA, DHAを意識した青魚中心の食事)
  • ロトリガ 2グラム/日処方
    (脂質異常症に対して処方できるOmega3)
治療後2週間の状況
  • 症状 ゼロに改善
  • 涙液メニスカスまだ高く、MGDの状態はまだ続いている
  • 温罨法とリッドハイジーンは続行して、点眼はオフに
症例2:治療後2週間

症例2:治療後2週間

症例3:64歳 男性

症例3

症例3

主 訴
  • 6年前から、眼脂、充血、流涙感
  • 朝、洗顔しても眼脂がとれない、朝が一番ひどい
鑑別すべき
疾患
慢性結膜炎、アレルギー性結膜炎、眼瞼炎、ドライアイ
診断名 前部眼瞼炎+後部眼瞼炎(分泌減少型MGD)
重症度

重症度5

罹患期間が長く、所見もマイボーム腺のDropout含め、irreversibleな状態まで進行している。患者さんによくこの点ご説明して、しっかりホームケアと点眼、内服を遵守してもらい、改善傾向がなければNon-pharmaceutical treatment(IPLやLipFlowなど)が必要になる可能性あり。
所見の解説

起床時に症状が一番ひどくなること
Collaretteあること
→ 前部眼瞼炎

マイボーム腺開口部周辺にRidge, Plugging, Vascularity(充血)
→ 後部眼瞼炎(分泌減少型MGD)

フルオレセイン染色してBUT6秒
角結膜上皮障害(-)
涙液メニスカス高い
→ ドライアイ所見なし

瞼結膜充血あるも乳頭形成なし
→ アレルギー性結膜炎なし

マイボグラフィーでDropout多数
→ 分泌減少型MGD

治 療
前部眼瞼炎に対して
  • 0.1%フルメトロン4回/日
  • ベストロン4回/日
後部眼瞼炎に対して
  • 温罨法、リッドハイジーン 2回/日
  • ミノサイクリン100mg分 2×30日
  • 食事指導(EPA, DHAを意識した青魚中心の食事)
治療後1ヶ月の状況
  • 症状はだいぶ改善したが、まだ眼脂がでる感じと朝の流涙感が残る、とのこと
  • 今後も継続的に治療が必要。温罨法とリッドハイジーンは必須。
症例3:治療後1ヶ月

症例3:治療後1ヶ月

症例4:78歳 男性

症例4

症例4

主 訴
  • 2ヵ月前から、眼脂、流涙感、掻痒感、眼異物感
  • 起床時に一番ひどい気がする
  • 1か月前の検診で中性脂肪とLDLコレステロール高値
鑑別すべき
疾患
アレルギー性結膜炎、慢性結膜炎、眼瞼炎、ドライアイ
診断名 後部眼瞼炎(分泌増加型+分泌減少型MGD)
一部のマイボーム腺ではマイバムの分泌が亢進し、一部のマイボーム腺ではマイボーム腺分泌が低下している状態
重症度

重症度3

罹患期間短いが、分泌増加型MGDに対しては現時点で有効な治療法がまだ確定していない。マイボーム腺のDropout多数なのでどこまで症状が改善できるか未知数。
所見の解説

Duct exposure(マイボーム腺の導管が露出している)
Foaming(瞼縁に泡状分泌物)
→ 後部眼瞼炎(分泌増加型)

瞼結膜乳頭形成なし
→ アレルギー性結膜炎の所見なし

BUT7秒
角結膜上皮障害なし
→ ドライアイ所見なし
結膜弛緩症あり

マイボグラフィーでDropout多数
→ 後部眼瞼炎(分泌減少型)

現段階での
処方
分泌増加型MGDに対して
  • 抗炎症目的で0.1%フルメトロン 4回/日
  • ミノサイクリン100㎎分 2×30日
分泌減少型MGDに対して
  • 温罨法、リッドハイジーン 2回/日
  • 脂質改善目的でロトリガ 2g×30日

症例5:88歳 女性

症例5

症例5

主 訴
  • 半年前から眼脂、充血
  • 右眼ごろごろして痛い
  • 起きたときに涙目、眼脂
鑑別すべき
疾患
眼瞼炎、ドライアイ、アレルギー性結膜炎、慢性結膜炎
診断名 前部眼瞼炎+後部眼瞼炎(分泌増加型MGD)+ドライアイ
重症度

重症度2

比較的罹患期間が短く、炎症所見もそれほど強くない。角膜に上皮障害あるが、点眼で改善の見込み高い。
所見の解説

Collarette認め、起床時に涙目、眼脂を訴えている
→ 前部眼瞼炎

Duct exposure、瞼結膜血管拡張所見
→ 後部眼瞼炎(分泌増加型MGD)

フルオレセイン染色でBUT3秒
角結膜上皮障害あり
→ ドライアイ

処 方
前部眼瞼炎に対して
  • ベストロン 4回/日
ドライアイに対して
  • ムコスタ点眼 4回/日
後部眼瞼炎(MGD)に対して
  • 温罨法、リッドハイジーン 2回/日